シャープは今日、臨時取締役会で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の支援を受け入れることを決議しました。7000億円で買収されたわけです。
賛否両論、いろいろな意見があるようですが、私としては、まずは、めでたしめでたし、というところです。
産業革新機構が支援するという案にならなくて、本当に良かったと思います。
前に書きましたが、一企業の再生に公的資金を使うべきでないし、特にシャープの場合、今の段階でいくら支援しても、どぶに捨てるようなもの。
それよりは、企業による支援の下で再生したほうが、ずっと合理的な形で再生されるはずです。再生できればの話ですが。。
日本の技術が流出すると懸念する人もいますが、流出するような技術は残ってないんじゃないでしょうか。
気になるのは、産業革新機構が使うはずだった3000億円の資金。これはどこへ行くのでしょうか。
できれば、有望そうなベンチャーにつぎ込んでもらいたい。
私は1987年にソニーを辞めて、シリコンバレーの社員が50名ほどのベンチャーに移りました。その会社は2000年までに2700名までに成長しました。
シリコンバレーの良い点は、ベンチャーキャピタリストが大勢いるという点。ベンチャーキャピタリストは、たとえば、100社のベンチャーに投資します。そのうち90社がつぶれてもいいのです。残りの10社が上場し、1社が大化けする。その1社の儲けで、ありあまるほどの金が手に入るわけです。
日本にもベンチャーキャピタリスト"もどき"はいますが、ほとんどが銀行系です。そのため、失敗は許されません。
そこがアメリカとの大きな違いです。日本では、どうしても、冒険ができなくなります。
アメリカでは失敗は織り込み済みです。失敗してもいいのです。中には何度も起業して、何度も会社がつぶれる人もいます。それでも、ちゃんと社長の給料は毎月もらってて、本人が破産することはありません。
産業革新機構は、アメリカのベンチャーキャピタリストみたいなやり方で、日本のベンチャーに投資すればいいのに、と思います。シャープの支援をするぐらいなら、そのほうがよっぽど大きなリターンを得られるはずです。
また、日本の産業にとってもいいはず。
悲しいことに、今の日本、シャープの受け皿になるような成長するハイテク企業がほとんどありません。
アメリカでは企業の新陳代謝が常に行われていて、つぶれるべきところはつぶれるけど、その従業員の受け皿になるような、新しい企業が常に生まれています。
その陰にはベンチャーキャピタリストの活躍があります。
産業革新機構がどういうところか、まったく知りませんが、3000億円もあれば、次期産業の芽を育む上で相当なことができるはずですね。