モンロー研究所訪問記
「ゲートウェイ」
ゲートウェイ・ヴォエッジ・プログラム
(2001年4月7日~4月13日)
「生き霊」に会った!
何だかおどろおどろしい題名になったが、今回のモンロー研訪問での一番の収穫はこの体験であった。
拙著「体外離脱体験」で述べたが、夢の中や、「体脱前段階」で、「得体の知れない存在」に遭遇することがある。これらの「存在」は、性的にこちらを誘惑してきたり、暴力的であったりする。それらは何なのか。この物質世界と夢の世界、あるいは非物質界との狭間を徘徊する哀れな存在なのか。浮かばれない霊なのか。昔の人が「物の怪」と呼んだもの、魑魅魍魎、はたまた生き霊、幽霊なのか。
今回の体験によりこの疑問の一部が解けた。
2001年4月7日午後4時、20時間の長旅の末、米国バージニア州にあるモンロー研究所に到着した。八角形の尖塔を有する特異な建物を目の当たりにし、以前から何度も写真で見てはいたが、小さな感動が胸に湧き起こるのを感じた。
ここは以前牧場だったところに建てられただけに、あたりは緩やかな草原の丘陵が続く。春の牧草の緑が目に優しい。遥か遠く牛が草を食んでいるのが見える。
参加者は23名。アメリカ以外からは、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、マレーシアからの参加者があった。
このうち体脱を体験したことがある者が三名で、そのうちの一名(キャサリンという30歳ぐらいのグラマーな女性)は相当なサイキック(超能力者)だった。彼女はオーラが見え、予言、予知が当たると言う。見るからに神経質そうで、かなりの精神的問題を抱えていることが見てとれた。この精神的なストレスが彼女にサイキック能力を与えているようだ。子供の時に性的虐待を受けているように私には思えた。この女性が今回のことの成り行きに重大な役割を演ずることになる。
さて、参加者には二人に一部屋があてがわれた。各部屋にはCHEC Unitと呼ばれるベッド一個分の小部屋が二つある。中はカーテンを閉めると真っ暗になる。参加者はここでヘッドフォンを付けて横になりヘミシンクと呼ばれる音響パターンを聞く。夜の睡眠もこの中でとる。
今回参加したゲートウェイ・ヴォエッジというコースでは、フォーカス21までの各意識状態に慣れ親しみ、最終的にはヘミシンクの助けなしでも、フォーカス21までの各状態に自分で行けるようにすることを目的としている。
今回このコースに参加してわかったことは次のことだ。意識が完全に体から抜け出すという過程を伴う本当の意味での体脱を行わなくても、つまり意識はいまだ体の中に残っていると思える状態でも、意識の一部あるいは大部分を別の状態にあるいは場所に持っていくことが可能だということである。これはバイ・ロケーションと呼ばれている現象で、意識が一度に二つの場所または状態をとることを言う。
私は今までこういったことが可能だとは考えていなかったが、今回このコースに参加して認識を新たにした。バイ・ロケーションは本物の体脱よりも簡単に行える。
前置きが長くなったが、実際の体験の説明に入りたい。ヘミシンクを聞くセッションは各30分から45分で、午前2回、午後3回、夕食後一回。各セッションの後、全員でのデブリーフィングがあり、体験内容を皆で共有する。もちろん何も話したくない人は話す必要はない。
各セッションについて順に書いていくのが本当だろうが、かなり冗長になるので、「生き霊」に会ったという切り口でまず書く。
香水の香り
セッションが始まって二日目の4月9日、月曜日のことだ。午後二回目のセッションはフォーカス12 フリー フローといってフォーカス12に達したらその後、自由にその状態を楽しむというものだった。私は何をしようか迷ったが、ともかく何でも入ってくる情報なりをそのまま受け入れようと思った。
しばらくそのままでいると、突然強烈な女性の香水のにおいがした。それはわずか一秒ほどの間だったが、キャサリンの香水だとすぐにわかった。彼女は香水のにおいをぷんぷんさせているので覚えていたのだ。彼女が体脱でここにやって来たのか。
その日の晩、キャサリンと話す機会があった。
「さっきのセッション中におれの部屋に来た?」
彼女はちょっと困ったような顔をした。
「あんまり暇だったので、皆が何しているか一人一人の部屋をチェックしたのよ(体脱して)」
やっぱりそうだった。彼女は来ていたのだ。
フォーカス12の状態では通常では見えないものが見え、聞こえない音が聞こえるという。私は彼女を嗅覚で感じたのだ。
生き霊
さて、ここからいよいよ生き霊の話になる。次の日の晩、つまり4月10日、火曜日、セッション開始から三日目も無事終了した夜のことである。これだけ毎日セッション詰めに合っていると、かなり霊感が研ぎ澄まされてきたという感じがしていた。さらに夜には両側の壁に置かれたスピーカーからデルタ波に相当する音が聞こえてくる。デルタ波とは深い眠りのときに発生する脳波である。
私は夢を見ていた。夢はレム睡眠中に見るものだが、眠りとしてはデルタ睡眠よりも浅いものである。
夢に美しい日本人女性が現れた。私は彼女が誘惑してくるのを感じた。あるいはこちらの感情に彼女が反応したのかもしれない。
いつものことであるが、夢の中では心の底にあるものが出てきやすい。理性的なものは希薄になる。ただ今回は、こういった存在は邪悪な者だという意識が働いていた。
彼女は私の右手を引っ張りだした。私は無理矢理目を覚ました。彼女は消え去り、私の右手の指先には痛みが残った。
暗闇の中、女性の顔をもう一度思い出してみた。日本人だと思っていたが、顔の作りはキャサリンだった。
次の日、ミーティングで体脱の話になった。誰かが発言した。
「参加した当初は体脱しようと必死だったけど、今は体脱できなくてもいろいろすごい体験ができるんで満足している」
皆も同感だった。
と、キャサリンが不満気に言った。
「みんなが体脱したいって言ってたので、夜みんなの部屋に行って、腕を引っ張ってあげてたのに」
やっぱりそうだったんだ。私は夢のことを皆の前で言おうか迷った。ちょっと二人の間の秘め事のようにも思えたからだ。
ミーティングの後でキャサリンのところに行き聞いた。
「昨日の晩、おれのところに来た?」
彼女は下を向いたまま答えた。
「はい」
「おれの右腕をひっぱった?」
「はい」
彼女ははにかんでいるように見えた。
夢の中に女性が出てくることがある。特に、性的に魅惑的だったり、誘惑してきたり、抱き付いてくるもの。これらは体脱前段階と言える状態に意識と体があると、その次元で実在する。ルーシッド・ドリームの中でも実在する。肉感は本物との差がない。私はこれらが何物であるのか以前から興味があった。
死後浮かばれないでいる霊なのか。あるいは生きている人の魂が、夜な夜な体から抜け出てそこらを徘徊しているのか。つまり俗に言うところの生き霊である。
今回の体験は少なくとも後者がありうるということを私の中で実証した。キャサリンの場合には意図的に体脱していたのだから、生き霊というのはあまりに生々しくて適切ではないと思うが。
後でキャサリンに聞いた話だが、彼女がやるのは純粋な体脱ではなく、バイ・ロケーションだという。つまり、意識の一部を体の中に残したまま、一部を別のところへ持って行くのである。
私にとってこの体験はさらに二つの点で重要な意味を持っていた。
まず一つはバイロケーションということが可能であることを実証した点。実際、モンロー研でヘミシンクを聞いて私が体験したのもこれであった。つまり意識は体の中にありながら(つまり体の感触が十分残ったまま)目だけ別のところに行ってるような体験である。
二つ目は、これが別の人が意図的に体脱しているのを見た私としては初めての体験であるという点である。個人的に体脱体験の実証がさらに一つ増えた。これは万人に提示できるという意味での客観的な証拠とはならないまでも、自分自身にとっては確実な実証であった。
ガイドとの会話
4月12日(木)早朝、夢うつつのときCHEC UNITにキャサリンが来た(もちろん体脱で)。においがする。たばこのにおい。本人か? 出ていったのを追いかけた。屋根の上にいる。その後、見失った。
しばらく起きている。全身にエネルギーが感じられ、このまま体脱できそうな感じがする。スピーカーから流れてくる音(Super Sleepというテープ)のエネルギーがすごい。そういえば、音が大きくなり部屋(CHEC)の右足の奥が振動してキャサリンが来たのだ。またキャサリンが来そうな感じ。フォーカス12に行き、キャサリンはどこにいるか、屋根の上をスキャンする。
自分のへその少し下のところから上向きに白い煙がらせん状に回転しながら立ち上っているのが見える。
この晩はエネルギーが強くてずっと起きていた。どこの段階だったか覚えていないが、ボルテックスが胸のあたりに降りてきてぐるぐる回りながら左から右へ移動した。
そしてガイドが話しかけてきた。
MAS(著者のこと) ??? (これって本当?)
コンタクトは夜が簡単だ。Directにできる。今みたいに。昼間はF12に行かないとだめ。精神集中が必要。
ガイドがF12まで降りてきて、MASがF12まで上がってきて初めてコンタクトできる(これはどっちかというと言葉ではなくイメージで情報を得た)。
すると、上から二羽の白く輝く(背景は黒)小さな鳥(ハトみたい)が降りてきて体内に入った。次々に二羽づつ入ってくる。5センチくらいの大きさ。
キャサリン。あなたは愛されているんだよ(あなたの言葉で言えばGodに)。自分を許しなさい。自分を愛しなさい。
記録を取り終わりCHEC Unitに戻る。
今までエネルギーが強すぎて眠れなかったのがうそのように、その後は朝まで熟睡した。 ただ、次の日は疲れてフォーカスできなかった。
フォーカス15と過去世記憶
時間が前後するが、フォーカス15でいくつか興味深い体験をした。
4月10日(火)第一回目のセッション(F15 State of No Time)
セッション前のミーティングでフォーカス15についての説明があった。以前、モンロー研にアジアから二人の高僧が来たことがあるという。一人は90歳ぐらいでもう一人の若い方は60前後。黒いネクタイを締め厳粛な態度でセッションに臨んだという。ところがフォーカス15のテープを聞くや、ネクタイを乱し興奮して部屋から転がり出てきて曰く、
You Americans have done it!
彼らが何十年も厳しい修行をしてやっとたどりついた境地を、この数十分のテープはいとも簡単に達成させてしまったと驚いたのだ。
第二回目(Free Flow Focus15)
セッション前の説明でフォーカス15は無地間の状態でいつの時間ともつながっていると説明された。それなら過去世に行けるはずと思う。
ガイドにPast Life(以前体験したことのあるポリネシアンの)に連れてってくれと頼む。黒人の女性(30 -40歳)が現れていっしょに飛んでいく。
彼女は向こう向きで、私は右斜め後ろから彼女を見ている。何か羽が生えているようにも、何かの機械に乗って飛んでいるようにも見える。彼女は微笑んでいる。ガイドが黒人なのにちょっと驚く。
森の上を越え、トロピカルのビーチに着いた。その後、ビーチそばの洞穴内にいる。またビーチ。大勢の褐色の肌の人が見える。上半身が裸で、腰にアシのようなものでつくったものをまとっている(ハワイアンが付けているもの)男性。
何かの儀式なのか、大勢人がいる。海の中に入っている人もいる。皆同じ方向を見ている(こちらのちょっと右方向)。いくつもいくつもイメージが見える。
とくに感情は伴わない。映画を見ているようだ。色鮮やか。茶色の岩肌。青い海。自分は5歳ぐらいの子供の感じがする。
結婚式のようなところに行くように頼む。別のイメージが現れたが何だかよくわからない。
別のLifeに行くように頼む。
草原が見える。戦場のよう。よくわからない物体がたくさん見える。人のようで、何かの物のようでもある。
別のLifeに行くように頼む。
大勢の人がこちらのちょっと右手に向かって歩いてくる。女性、男性。姿服装ははっきりしない。何十人も次ぎから次に。
イメージが次々に現れる。セッションはあっという間に終わった。
ガイドからのメッセージ
11日(水)第二回目のセッション(Five Messages)
自分にとって五つの重要なメッセージを重要度の低い方から順にガイドに示してもらうというセッション。
次のイメージが浮かんだ。
5番目に重要なメッセージ。輪になったコイル。Gregの姿。
4番目に重要なメッセージ。雪のスロープ。人が一人スキーで滑り降りている。雪のスロープが白いピラミッドの斜面になる。
3番目に重要なメッセージ。入り江と青い海。材木みたいなものが浮いている。
2番目に重要なメッセージ。海のわきの洞窟。青い海と青い空。人が一人いたのがだんだん増えてくる。イメージが洞窟から外の市場のようなところに変わる。
最重要メッセージ。恐竜の目の部分かサメの骨のような大きく穴の開いた形の茶色の岩。そこを通して見える青い海。岩がごつごつしている。視点は右の方へ移動していく。(基本的に2、3と同じ形)
このときには意味が不明だったが、ライフライン・プログラムとX27・プログラムを取り、これらのメッセージが重要な意味を持っていたことがわかった。
フォーカス21
第五回目のセッション(Free Flow F21)
フォーカス21で自由行動のセッション。
白いモヤモヤの中。ちょっとフォーカスをはずすと眠ってしまい夢の世界に入ってしまう。いろいろなものが見えた。巨大なキリンみたいな構造物(コンクリート製)がゆっくり歩いている。それをずっと上空から見ている。巨大なアーチ状の橋を見つける。中が線路になっていてジェットコースターのコースのように見える。横には中華風のデコレーションがある。橋をどんどん登り(列車で?)、途中から反対側へ降りていく。向こう側に行ったらFocus 21よりもずっと上に行ってしまうんじゃないかと思い、途中から引き返す。
夜
第六回目のセッション(WaveVII Tape 6、F21 Free Flow)
フォーカス21へ。白い雲海の上に出た。ちょうどジェット機で高空を飛んでいるときの景色みたい。自分が乗っている乗り物が見え、その行く手に雲海と空の境界が青く見える。上空は暗い。ちょうど太陽が金色に輝きながら出てきたところだ。静かで安らか。
モンロー研で学んだこと
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モンロー研でいうところのFocus10、12、15、21という意識状態は真性体外離脱をしなくても体験できる。どちらかというと、意識の状態としてはBi-locationのような状態と思われる。
つまり意識の一部はまだCHEC Unit内の体の中にありながら、意識の一部が別の場所、次元に行く。体の感覚は残っているし、体を動かすこともできる。
意識としてはまだ体にしっかりつながっている。こんなに体のことが感じられながらでいいのというのが正直な感想。それでも、Focus12ではキャサリンの香水のにおいを感じられたのだ。真性体脱では体から一度抜け出すと、もう体のことは忘れている。キャサリンの存在を感じた(においで)とき、キャサリンがやっていたのはBi-locationという手段。 - モンローのテープを実践する場合、眠気があるとかえってじゃまになる。意識はむしろはっきりしているときの方が良い結果が得られる。眠いとFocus Levelに集中できなくなり、どこかへ意識がドリフトしたり、別のことを考え出すからだ。