モンロー研究所訪問記
「ライフライン」
ライフライン・プログラム
(2001年6月16日~6月22日)
前回のゲートウェイ・ヴォエッジ・プログラムはナンシー・ペン・センターという牧場のど真ん中にある施設で行われたが、今回は広葉樹林に覆われた山の上にあるロバーツ・マウンテン・リトリーツで行われた。
ここはモンローが生前住居としていたところをセミナー用に改修したところである。緩やかな北向きの傾斜地に建てられているため、表からは地上一階、裏からは二階建て構造になっている。
プログラムのトレーナーはジョンとペニー。ジョンは前回のゲートウェイでのトレーナーでもあった。知らない人達ばかりの中にちょっとばかり知る人を見つけほっとした。
六泊六日のこのプログラムの目的は次の二つである。
- フォーカス22から27の意識状態を体験しそれらに慣れ親しむ。
- フォーカス23に囚われている人達を救出しフォーカス27まで連れて行く。
個人的には、いわゆる死後の世界(死者の意識状態)を体験できること、救出活動を通して死の恐怖が軽減されていくことに主眼があった。
今回の参加者は17名(女性6名)。ゲートウェイ・ヴォエッジ・プログラム卒業生を対象としているため、今回でモンロー研のプログラム参加が三度目以上という人が多く、その道の通みたいな人が多かった。中でもマーギーという三〇代半ばの女性は、今回で七度目という。皆からマスター・マーギーと呼ばれていた。チャクラがいくつも開いているという。
こんなことがあった。二日目の夕食後、マーギーと会話をしていると、彼女は突然会話をさえぎった。何かが話し掛けてきたので、ちょっと中断したいと言う。目をつぶり三秒ほど意識を集中している様子だった。目を開けると、おもむろに言った。
「マス(著者のこと)のガイドがコンタクトしてきたの」
ガイドとは、守護霊とか、ガーディアン、ハイヤーセルフ(高次の自我)などいろいろな呼ばれ方をする非物質の存在である。各自に最低一人や二人はいて、その人の霊的成長を助ける役割を果たしている。マーギーは私を階段の方へ連れていくと言った。
「あんまり皆がそばにいると、いやでしょうから、ここで伝えるわ。」
私のガイドからのメッセージを歌で表現したいと言う。それは一分ほどの即興の歌だった。要約すると、こうなる。
「あなたは今までガイドからのメッセージを本当かどうか今一つ信じていなかったけど、本当です。今週、そしてこの後の一生の間にいろいろすばらしいことが待ち受けています」
実はゲートウェイ・ヴォエッジ・プログラムの際に体験したガイドとの会話が本物かどうかちょっと疑っていたのだ。
さて、ライフラインに参加した目的の一つは死後の意識状態に相当する23から27までのフォーカスレベルを体験することにある。10から21までのレベルを再度体験した後、いよいよ二日目(17日)の夕食後、初めてフォーカス23用のテープセッションになった。デブリーフィングの後、期待に胸を膨らませCHECユニットに潜り込んだ。これで死の恐怖から解放されるとまでは行かなくても、少なくともその糸口になるはずだ。ただはたして何か見えるのだろうか。いろいろな思いが去来した。が、この不安はすぐに吹き飛んだ。カラフルな映像が次から次へと見えてきたのだ。
フォーカス22。暗い森の中、うっすらと霧のかかった中を、大勢の人が向こう向きに黙々と歩いている。
フォーカス23に移動するにつれ、あたりは暗くなるが、まだ大勢の人が歩いているのが見える。いくつもの映像の後、南北戦争の南軍兵のような兵士が数百人並んでこちらを見ている。
6月19日(火)
朝食の後、いよいよフォーカス27へテープの指示に従って行く。
川と森、建物が見えてきた。何か日本の温泉街にある旅館の入り口のようなところに来た。中に入ると、部屋の端を青い水が小川のように流れている。竹でできた調度品が目に付く。建物の左手はオープンになっていてイス、机がある。
さらに下の谷を見下ろせる。下は川の一部が温泉になっているようで、五人ほどつかっている。何だか本当に温泉みたいだ。
外に出る。だんだんトロピカルな風景に変わり、ハワイのような海岸に来た。深い緑の森が海岸線まで迫っている。海岸は岩だらけ。黒茶色の岩。
右の方に行くと、アーチ状の岩が青い海を背景に見える。ちょっと待て。これってゲートウェイのときに見たのと同じじゃないか。
実は、前回のゲートウェイ・プログラムの際、「自分への五つの最重要メッセージは何か」と尋ねるセッションがあった。そのときに得た最重要メッセージが今見ているアーチ状の岩だったのだ。真っ青な海を背景に黒茶色のアーチ状の岩が見えた。まったく同一の映像を今見て、驚いた。一体これには何の意味があるのか。どうして最重要メッセージなのか。この段階では皆目見当がつかなかった。
昼食の後、第一回目のレトリーバル(救出)・セッションになった。このセッションではフォーカス23にいる人達を救出し27まで連れてくることを学ぶ。
27に着いた。海の中にいた。薄緑色のトロピカルな感じの海だ。石でできた防波堤みたいな壁が左にある。右手にも石壁がある。
すると、どういうわけかその垂直の壁の間にはまってしまい、身動きが取れなくなった。水深はわずか一メートルほどなのだが、動けない。ここから出られない。半ばパニック状態になった。
テープの声がフォーカス23へ行けと指示する。どうにか海から脱出したらしく、23に行く。青色とかカラフルな色の中にいる。上下がよくわからない。
初めどこにいるのか把握できなかったが、海岸にある格子状のコンクリのようなものを上から見ていることがわかった。青緑色の水がコンクリの間を埋めている。人は誰も見えない。テープの声が救出する人を決めるように指示する。
「誰かいませんか」
大声で叫ぶが、返事がない。もう一度呼ぶ。返事なし。テープの声がその人を連れて変えるように指示する。誰も見当たらないので、そのまま27へ帰った。
セッション後のブリーフィングでほとんどの人がレトリーバルできたと言っていたので、フラストレーションがたまった。その後マーギーとちょっと話す機会があった。事情を説明すると、マーギーのコメントは、私が過去世でポリネシア人だったときに溺れ死んだんじゃないかというものだった。
拙著「体外離脱」で書いたが、以前、過去世を思い出す体験をしたことがあった。そのときに体験した過去世の私はポリネシア人のティーネージャーだった。今の家内がいいなずけで、いっしょに泳いでいるところを追体験した。また、ゲートウェイ・プログラムの際にもフォーカス15でこの過去世に行き、腰蓑を付けた褐色の肌の人が大勢海岸に集まり何かの儀式をしているのを見た。この時の私は5、6才の子供だった。この過去世の私は溺れ死んだのか。
20日(水)。第二回目のテープ。二度目のレトリーバル・セッション。まず27へ行く。次いで23へ。またしても海の映像。青い海。桟橋みたいなものが左側にあり、向こうへ伸びている。右側は海。昨日上から呼んでうまく行かなかったので、今回は海の中へ入ることにした。青緑色の海水。光のパターンがゆらゆらと揺れる。10~20メートルほど潜り底に近づく。コンクリのような塊があたりに散乱している。
「誰かいる?」
何回も呼ぶが返事がない。魚がグロテスクな口を大きく開いて泳いでいる。水平に移動し、ものをいくつかどける。
「誰かいる?」
「ここだよ!」
誰かの声が聞こえた(感じた)。
「どこ?」
必死になって塊をどける。心を開いてどういう人なのか探るがよく把握できない。手が見えた。両手が残骸の間から上に突き出ているのが見える。まわりを必死にかき分けるが、だめだ。音の感じから27に戻らないといけない。だんだんここにいるのが難しくなってきた。
「すぐに帰ってくるから」
海の水の色が濃い青から明るい青緑に変わった。すると、突然、視界が変わった。
青い水の中にいて上を見上げている。上の方に白い開口部があり、そこから光が入ってくる。ここから出ようとするが出られない。まるで、自分が今助け出そうとしていた人になったかのようだ。
次のテープ・セッション。何としてもさっきの人を救出しなければと思いながら27へ、そして23へ行った。またしても海。ただ水の色が若干異なり薄緑色だ。海に入る。海水は白っぽい緑。色が変わって青になった。石の壁が見える。底まで潜る。10メートルほどか。
気がつくと左手の方に船がいく艘も並んでいる。全部幽霊船みたいだ。何時の間にか水はない。船の一つに近づく。
「誰かいますか」
船首の方から中へ入ろうとする。直径一メートルほどの中空の木の筒の中へ入っていくような映像になる。前方に人の気配を感じる。イメージが定まらないが誰かいるのはわかる。非常に恐い。もう帰ろうかと思う。幽霊みたいな感じがする。
「あの、誰かいますか」
「幽霊ですか」
すると、声がして、おれは幽霊だと言う。とっさに、先ほどのデブリーフィングのことを思い出した。マーギーが幽霊に会ってレトリーバルしたと話していた。そのとき彼女が使ったテクニックを借用することにした。
「幽霊なんかしているのもう飽きたでしょ。もっといい仕事がしたくないですか」
「そうな。昔は幽霊船を走らせて他の船の連中を怖がらせたもんだが、このところはそれもやってない。ぜんぜん人に会うこともなくなった」
「もっとおもしろいところへ行きましょうよ」
「そうだな。そんなことができるのか」
私は手を差し伸べた。幽霊が手をつかんだかどうかはっきりしなかったが、27へ行こうとガイドに合図した。上へ上がっていく。どんどんと。本当について来ているか心配だったが、目の前に常に形の変わる多面体状の存在がいた。馬に乗った人みたいになったり、ほうきに乗った魔女みたいになったりと、何かよくわからないものが存在していた。次第に空が夜空になり、星が美しく輝き出した。
「おもしろい!」
男は飛行を楽しんでいる様子だった。名前を聞いてみた。シュナイダだと言う。ファーストネームも言ったが忘れた。心を開くと男から次の情報が入ってきた。
オランダ人の海賊。1797年。これがどういう意味か不明。真っ暗な中に二人の顔が浮かぶ。一つは母。もう一つは姉か娘。この家族と何かがうまく行かなくて海賊になる。乗っていた船の映像(4本ぐらい帆のある結構立派な船で、船体は黒い)。船がしけで転覆し、沈没。自分が死んだことはわかっている。
しばらくすると、下前方にポート(発着場)が見えてきた。全体に赤っぽい色。スターウォーズのエピソード5に出てくるクラウド・シティーの宇宙船発着場を彷彿とさせる形をしている。前に突き出た場所がある。
そこに向かっていく。出迎えに5,6人が来ている。二人は背が低い。海賊は何時の間にかポートに降りていて、左の方にいた一人と抱き合っている。海賊は全身を覆う大きな毛布みたいなガウンをまとっていて、頭には棒がたくさん突き出た帽子をかぶっている。迎えに来た人達は17、8世紀のヨーロッパ風の服装をしている印象がある(よく把握できない)。海賊は他の人達と話しながら、奥の方へと歩いていき、中に入っていった。
21日(木)。朝食後のテープセッションは、フォーカス27でHealing And Regeneration Center(癒しと再生センター)へ行くものだった。
27へ着く。ガイドにHealing Centerへ連れていってくれるように頼む。
トロピカル・リゾート地にあるホテル内のカフェテリアのようなところにいる。カウンターがあり、皿に食べ物がもってある。
外に出る。パイナップルみたいな木がたくさん生えた広い草原。人が立っていたり、話し合っていたりするのが見える。
テープの指示がヒーリングを体験せよと言う。どうなるのかと待っていると、十秒ほどして、気がつくと台車に縛り付けられて移動している。前後に一人ずつ看護婦がいて、一緒に廊下をダッシュしている。
実際のところ看護婦も台車もメタリックな(水銀みたいな)エンティティで印象としてこう思えるというのが正確だ。大分走ってから部屋に入る。止まる。
4,5人が足元からこちらを覗き込んでいる。形は不定形でグニャグニャしている。一人が何かの道具を持ってこちらに身を乗り出してきた。
何かを心臓の少し下、胃のあたりに挿入。挿入感はない。いろいろ何かしている。それはメタリックのロボットに変わった。さらにターミネーターみたいな骸骨ロボットに変わる。自分が焼けた肉の塊みたいに見えたことが途中であった。
次のテープはレトリーバルの最終回だった。ここで救出できなかったら大変だ。何としても救出しなければ。
27に着く。海岸と青い海。ガイドに23へいっしょに来るようにお願いする。途中25で16世紀ごろの帆船が二艘青い海を横切っているのが見える。
23に着く。青い海。例の茶色の岩がごろごろある海岸。アーチ状の岩が見えてきた。やっぱりここと関係あったのか。海の中に入る。どんどん潜っていく。なかなか底に着かない。海底に着く。
「どこにいますか」
返事なし。移動しながら聞く。返事なし。
ブルース・モーエンという人がモンロー研での体験記を四冊の本に著しているが、その中でSee it not there Techniqueという手法を紹介している。これは「それはそこにないと見る」手法とでも訳せばいい。
岩とかコンクリの塊とかに閉じ込められた人を救出するときに、手で一生懸命塊をどけようとしてもだめで、その代わりに塊がそこにはないと見る。すると塊は消え失せてしまうのである。
今回このことを思い出したので、See it not there Techniqueを使ってみた。よく効果はわからなかったが、目の前に空隙が広がったようでもあった。どんどん前へ進む。誰もいない。真っ暗になる。
「ガイドさん、どうしてなんだ」
「Open up, Mas(心を開いてごらん)」
額の目を開く。青い海の底にいる。水がゆらゆら揺れている。目の前にぬめぬめゆらゆらしたエンティティがいるのに気がついた。透明で海の水自体が動いているように見えるが何かがいる。
プレデターという映画に出てきた宇宙人みたいな感じ。何となく控えめにちょっと期待しながら目の前にいる。名前を聞くが返事がない。
そのままいっしょに上へ上がっていく。水から出た瞬間、眩しいばかりの南国の海と砂浜を背景に、15才ぐらいの褐色の男の子が水面からぬっと出てきた。ポリネシアンか、黒人か。粘土色のぬめっとした髪が肩のちょっと上、耳の下ぐらいまで下がっている。二重瞼をちょっと伏し目がちにしている。
本の2秒ほどだったが、彼の顔は今でもはっきりと思い出すことができる。イメージは次の瞬間にはぬるぬるした把握のできないものに変わってしまった。
一緒にさらに上へ昇って行く。姿がひょろ長いメタリックな巨大なヘビに変わった。全長は10メートルはあるか。胴の径は20センチ程度。左手にいて一緒に昇っていく。情報を得ようとするがまったく得られない。
しばらくして27に着いた。ポートが見えてきた。真っ赤な絨毯が敷かれているのか、着地する場所は色鮮やかな赤。真ん中の部分が前に張り出している。奥には金色のデコレーションの建物が見える。金色の衣装をまとった太った人が4、5人迎えに来た。この人達は頭のてっぺんから足の先まで金ぴかである。何時の間にか、一緒にいたはずのエンティティは出迎えの連中の中に混ざっていて区別がつかない。ただ、向こう向きの人がこちら向きの一人に軽くお辞儀をしている。皆そろって奥の方へ歩いていき、中に入った。
ともかく、最終回でこの子を救出できほっとした。これが自分の最重要課題であったわけだから。
今回のモンロー研での体験と以前の二つの過去世体験から、次のことがこの過去世について明らかになった。
私は南洋の島に住んでいた。そこは青い海に囲まれ黒茶色の岩の海岸がある。今の家内とはいいなずけの関係だった。15才ほどになったとき、私は海岸のすぐ沖で(アーチ状の岩のある付近で)石の瓦礫の下敷きになって溺れ死んだ。
さらに次のことが自宅でのテープセッション中に明らかになった。テープを聞きながらちょっとうとうとした時に、女性の声が語ってくれたのだ。
この島には古いしきたりを守る部族と、守らない新しく入ってきた部族とがいた。二つの部族間には何かと対立、いがみ合いがあった。融和を図るため、両方の族長あるいはその親族の中から一組の男女の子供が選ばれ、婚約した。それが私と家内である。ところが、古い部族の中の融和に反対する者達が私を殺害した。その後、両部族は戦になった。
過去世の自分を今の自分が救出するというのは、論理的に考えて次の二点で矛盾しているようにも思える。
過去世と今生という二つの自分が同時にほぼ同じ場所に存在するという点、救出された過去世の自分の未来が現在の自分のはずで、過去世の自分がフォーカス23に閉じ込められていたのなら現在の自分は過去世の自分が救出されて初めて存在できるのではないのかという二点である。
しかし、後で述べるように自己の意識というのは同時にいくつにも分離して存在できる。バイ・ロケーションやマルチ・ロケーションと言われるものである。23に閉じ込められた過去世の自己と今の自己は分離して存在していたと考えれば論理的に説明可能だ。